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声明・宣言

参議院議員選挙の街頭演説中の強制排除行為について、北海道警察及び北海道公安委員会に対し、改めて速やかな調査結果の公表等を求める理事長声明

  1.  2019年7月、北海道警察によって、参議院議員選挙期間中の市民の表現行為が強制的に排除されてから(以下、一連の排除行為を「本件排除行為」という)、半年以上が経過した。排除された市民らによれば、少なくとも9人が、安倍晋三自由民主党総裁に対する発言やプラカードの提示を警察官によって阻まれた、と報道されている。
  2.  当連合会は、本件排除行為は表現の自由と民主主義、とりわけ政治的少数者に対する重大かつ深刻な脅威となり許されないとし、2019年9月2日に、北海道警察に対し直ちに調査しその結果を公表することを求め、北海道公安委員会に対しても北海道警察を適切に管理することを求める理事長声明を発した。
     報道された映像によれば、本件排除行為の対象となった市民の表現行為が街頭演説を不能にしたり、聴取を困難にさせたという状況はうかがわれない。そうであるにも拘わらず、警察が市民の表現行為を何らの根拠も無く排除することは、市民の人権保障の観点からも、民主主義社会を護る観点からも到底許されることではない。警察法2条2項は、警察の「責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない」と定めている。
  3.  ところが北海道警察は、2019年12月開催の北海道議会定例会本会議における質問に対し、「札幌地検における、告発の処理の状況を踏まえつつ、事実確認を継続しているところ」として、本件排除行為の法的根拠についての説明を一切行っていない。また、報道機関からの問い合わせに対しても、一貫して説明を拒否し続けている。
     そもそも、行政機関である北海道警察の活動は法律の根拠に基づかなければならず(法律による行政の原則)、行政の説明責任が強く求められる現代にあっては、本件排除行為の当事者たる北海道警察が、市民に対して当該行為の事実関係及びその法的根拠を説明することは、当然に求められることである。また、市民に対する説明責任を果たすために、北海道警察が内部調査を行ったとしても、関係者の逃亡もしくは罪証隠滅のおそれがあるとは言い難く、さらには、検察庁は北海道警察の調査結果とは独立して捜査を行うことになるのだから、北海道警察による調査及び結果の公表は、検察庁による刑事事件の処理の妨害にはなりえない。「告発の処理の状況」は市民に対する説明責任を果たさないことを合理化する根拠とはなり得ない。
     他方、速やかに調査を行わないとなると、関係者の記憶が減退してしまうだけでなく、関係書類の廃棄などが行われ、事実経過を明らかにすることが困難になる危険性も否定できない。
     北海道警察はただちに調査の結果を公表し、本件排除行為の事実経過及び法的根拠を明らかにすべきである。
  4.  また、人権保障、民主主義社会の根幹に関わる本件排除行為の重大性に鑑みれば、北海道警察の民主的運営と政治的中立性を確保することを目的として設置されている北海道公安委員会は、北海道警察が速やかに調査及び結果の公表を行うよう最大限の強さをもって働きかけるべきである。
  5.  本件排除行為から半年以上を経過しても、なお何らの説明も行わないという状況は、北海道警察が説明責任を放棄し、北海道公安委員会がこれを是認していると評価されてもいたし方ない。これは、北海道民の警察組織、公安組織に対する信頼を失墜させるだけでなく、憲法上及び法律上の根拠無く、警察が市民の表現の自由を侵害することを事実上是認する、民主主義の根幹を揺るがしかねない異常な事態といわざるを得ない。
  6.  当連合会は、北海道警察に対し、本件排除行為に至った事実経過及び本件排除行為の法的根拠などについて直ちにその調査結果を公表することを改めて求めるとともに、北海道公安委員会に対し、北海道警察が直ちに上記の対応を行い、また、今後憲法や警察法の趣旨に則り適切な職務遂行に努めるよう、北海道警察を適切に管理することを改めて求める。

2020年(令和2年)2月17日
北海道弁護士会連合会
理事長  八木 宏樹

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