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声明・宣言

弁護士殺害事件の徹底した真相究明を求める理事長声明

秋田弁護士会に所属する津谷裕貴弁護士が、自宅に押し入った男性に刺殺されるという痛恨の事件が発生してから、今月4日で1か月が経過した。また、これに先立つ本年6月2日午後にも横浜弁護士会に所属する前野義弘弁護士が事務所において男性に刺殺される事件があった。

上記両事件はその事実関係や背景の詳細はなお不明な点があるが、これまでの報道や関係者の説明等によれば、いずれも離婚事件において妻から受任していた弁護士に対し、相手方であった夫が逆恨みを抱き殺害に及んだというものである。

このように暴力や脅迫の手段により弁護士業務を妨害しようとする行為は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士と法秩序全体に対する重大な挑戦であり、断じて許されるものではない。

当連合会は、亡くなられた津谷弁護士ならびに前野弁護士のご冥福を心からお祈りし、ご遺族に対し慎んで哀悼の意を表するとともに、このような理不尽な行為に対しても決して怯むことなく、今後も弁護士の使命と役割を果たしていくことをここに誓うものである。

ところで、秋田における事件の状況については、津谷弁護士が自宅に侵入した男性ともみ合っていた時に警察官が臨場したが、警察官が津谷弁護士を犯人と間違えて制圧している間に、犯人は剪定ばさみを持ち出して、津谷弁護士を突き刺して殺害したという経過であることが明らかとなっている。そして、秋田県警の西川直哉本部長は、今月3日、遺族宅を訪れて、警察官が現場にいながら津谷弁護士が殺害されたことについて謝罪をしたとのことである。

さらに、報道によれば、警察官は現場に臨場する際、防護衣を着用せず、警棒も所持していなかったとのことであり、そうであれば、警察官の初動対応が適切なものであれば、最悪の事態は避けられた可能性が高い。また、殺害直前の状況について警察官と遺族の証言とが若干異なっているともされている。

徹底した真相の究明が求められる。

当連合会は、秋田県警本部はもとより、警察庁及び関係機関において、捜査の状況及びあり方を調査・検討するための第三者機関を設けるなどして、事実関係の徹底的な解明と十分な検証を行い、再びこのような事態が起きることがないよう、適切な対応策を取ることを強く要請するものである。

2010年(平成22年)12月11日

北海道弁護士会連合会
理事長 高崎 暢

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